GFプロテクト工法
老いるコンクリート構造物⇒若返る“延命化”技術
1. 概要・特徴
現在、高度経済成長期に整備されたインフラ施設の老朽化が問題となっています。
近年では将来にわたりその機能を発揮できるよう、予防保全型の維持管理への本格転換の考えに立つことが一般的となっています。港湾設備もその一つであり、いかに適切な保守管理を行うかによって、設備の長寿命化や延命化への期待は大きく異なります。
GFプロテクト工法では、永久型枠(高耐食性のFRP-セラミック複合板)を、アンカーボルト締めでセットして使用します。そこに、グラウト材を充填しコンクリートと一体化させるため、従来の型枠脱型工程は不要です。
グラウトに含まれる亜硝酸塩が長期にわたり鉄筋を腐食から守ります。また、グラウトはノンブリーディング、かつ高強度であり更に高流動性のため狭隘部まで充填されることから、鉄筋や既存部材を完全に一体化させることができます。
型枠は、外的腐食因子の侵入を遮断し、耐久性を向上させます。
また、一部供用したまま施工が可能で、新設や架け替えの新たな一手となり得ます。
2. 対象設備事例
3. 施工断面図
4. 施工フロー
- 足場工完了
- コンクリート撤去
- 撤去完了
- 高圧洗浄
- 防錆処理
- 鉄筋補強
- 永久型枠組立
- 永久型枠組立
- グラウト注入
- グラウト注入
- グラウト注入
- 現場塗装
5. 亜硝酸塩の防錆効果
打ち継ぎモルタルの種類による鉄筋腐食状況の相違
- 供試体の形状
- 試験内容
- 打ち継ぎモルタルの種類を変えることによって、鉄筋の腐食及びその抑制状況を比較する。
- 試験結果
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※横スクロールで確認できます
GFプロテクト工法は打ち継部だけでなく塩化物含有モルタル部の鉄筋腐食の防止が出来ている。
6. 補修梁の曲げ載荷試験結果
GFプロテクト工法の強度評価
- 試験内容
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GFプロテクト工法で補修した梁の曲げ載荷試験
指導:九州工業大学 建設社会工学科 名誉教授 出光隆
- 試験結果
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※横スクロールで確認できます
供試体 破壊荷重 (tf) ひび割れ状況 Case A 健全な供試体 4.09 破壊時 4.0mm Case B CaseAの一部が欠損した供試体 3.96 破壊時 1.4mm Case C CaseBにグラウトのみの補修をした供試体 3.63 破壊時 3.0mm Case D CaseCにGMP板7mm使用した供試体 8.81 GMP板ひび割れ発生なし Case E CaseCにGMP板7mm使用した供試体 8.70 GMP板ひび割れ発生なし - 評価
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大学研究機関においても、GFプロテクト工法が劣化前の当初の曲げ強度が回復していることを明らかに出来ました。
GMP板を用いていない供試体は、普通のRC梁であるから、低荷重時から引張部に多数のひび割れが生じ、それぞれの幅が拡大していくのに対し、GMP板合成梁は、最大荷重に達する直前の破壊時までGMP板にひび割れは発生せず、最大荷重時にGMP板が破断して急激に荷重が低下するという経過をたどします。コンクリートと補修部との間の剥離については、コンクリート表面に施したチッピング処理の効果で、いずれの供試体についても全く見られませんでした。
7. 実海域施工試験と施工5年後調査
- 工事名称
- 唐津港埠頭-9.0m岸壁No.12桟橋GFプロテクト工法塩害対策鉄筋防錆工法実海域実験工事
- 工事期間
- 平成15年7月1日~8月31日(62日間)
- 調査実施日
- 平成20年10月30日 施工から5年経過後
当該施設の劣化原因調査
圧縮強さ、塩害、中性化、ひび割れに関する調査を実施しました。この結果、圧縮 強さ、中性化は問題なく、当該施設の劣化の主因は、一部アルカリ骨材反応も確認 されましたが、大半は「塩害」によるものと推定しました。
具体的には、当該施設の塩分量は、スラブ面で10〜15(Kg/m3)、梁面で6〜11(kg/m3) 確認され、土木学会の鉄筋発錆算定限界値1.2(kg/m3)と、大幅に超える値でした。
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撮影位置
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撮影位置
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撮影位置
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撮影位置
調査結果
- 躯体コンクリート部と補強部(グラウト材)との密着良好で完全に躯体と一体化している。
- 躯体GFプロテクト部は、ボルトとの緊結はもとより、グラウト材とGMP板の付着も確認される。
- (1)・(2)の効果から、新たに挿入した鉄筋部の発生は皆無である。
8. 施工実績
山口県 宇部港
9. 広報活動
2019年 JCMAフォーラムで講演を行いました。
一般社団法人コンクリートメンテナンス協会
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E-mail:info@j-cma.jp
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演題:亜硝酸塩の有効的な工法の紹介
GFプロテクト工法